タイムカードがない会社で働いていると、自分が何時まで働いたのかを示すものが、手元に何もありません。
「サービス残業ばかりだけれど、証拠がないから残業代の請求なんて無理だろう」と、辞めるときの清算まで諦めかけていませんか。
先にお伝えすると、タイムカードがなくても、未払いの残業代は請求できます。
労働時間を記録する義務は会社の側にあり、記録がないことの不利益を労働者だけが負う仕組みにはなっていないからです。
ただし、「請求できる」と「辞めた後に自分で取り返せる」は、別の話です。
私はブラック企業に約10年勤めた経験者で、現在は東証プライム上場企業の品質管理部門で働く現役会社員です。
前の会社にはタイムカードがなく、サービス残業は月100時間を超えていました。
退職後に未払い残業代を単純計算し、弁護士への相談まで行きましたが、最終的には未払い残業代の請求をしませんでした。
弁護士に相談して分かったのは、退職のときに未払い残業代と有給の清算まで一度に済ませておくべきだった、ということでした。
それができるのが、弁護士が運営する退職代行です。
退職代行は、正しく使えば良いサービスだと思っています。
ただ、退職の意思を伝えてもらうためだけに使うことは、あまりお勧めしていません。
退職を認めてもらえない、残業代や賃金を払ってもらえない、という場合には強い味方になってくれるはずです。
この記事では、その退職代行の使い方も含めて、次の5つを順番にお伝えします。
- タイムカードがない会社は違法なのか
- タイムカードがなくても残業代を請求できる理由と、証拠になるもの
- 辞めた後に請求する流れと、時効の減り方
- 自分で請求する・労基署・弁護士・退職代行、4つの道の比較
- 試算までした私が動かなかった理由と、動く前に決めておくこと
それでは、「そもそもタイムカードが無いことは違法なのか」という問いから、順番に見ていきましょう。
タイムカードがない会社は違法?問題は「機械がない」ことより「時刻が残っていない」こと
「うちの会社は違法なのでは」と感じる気持ちは分かります。
ただ、答えは「タイムカードがない=すぐに違法」ではありません。
まずこの章では、何が問題になるのかをはっきりさせていきましょう。
会社には、労働時間を客観的に記録する義務がある
厚生労働省のガイドラインでは、会社は労働者ごとに始業・終業の時刻を確認し、記録することとされています。
その方法として挙げられているのは、会社が自ら現認して記録するか、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間などの客観的な記録をもとに確認するか、の2つです。
自己申告制も認められていますが、適正な申告を妨げないことなど、いくつかの条件が付いています。
つまり、方法はタイムカードでなくてもかまいません。
問題になるのは、機械があるかどうかではなく、始業・終業の時刻という肝心の中身が、どこにも残っていないことです。
紙の出勤簿でも、時刻まで書かれていれば記録として成り立ちます。
逆に、立派なタイムカードがあっても、定時に打刻してから働いているなら、実際の労働時間は記録されていません。
出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
勤怠の記録には、当分の間3年の保存義務がある
「古い記録なんて、会社はすぐ捨ててしまうのでは」と思う人もいるでしょう。
労働基準法では、出勤簿やタイムカードなど労働関係の重要な書類は保存の対象で、期間は原則5年、当分の間は3年とされています。
法改正で5年に延びましたが、当面は3年のままとする経過措置が続いていて、終わる時期はまだ決まっていません。
会社には記録を残す前提がある、ということです。
ハンコだけの出勤簿しかない会社でも、この義務は消えません。
時刻を記録していないのは会社側の落ち度だ、という形で、あとの請求の場面で効いてきます。
出典:労働基準法 第109条(記録の保存)/同 第143条(当分の間3年とする経過措置)
ブラック企業でよくある3つの運用と、残業の根拠に何が残るか
勤怠管理の甘い会社には、典型的な運用が3つあります。
| よくある運用 | 残業の根拠として残るもの |
|---|---|
| ①出勤簿にハンコを押すだけ | 出勤した事実だけ。何時に来て何時に帰ったかは残らない |
| ②タイムカードはあるが、定時に打刻してから残業 | 打刻の時刻だけ。打刻の後に働いた分は記録に残らない |
| ③何も記録していない | 会社側には何も残らない。ただしPCのログや業務システムの履歴は残っていることがある |
当てはまった番号の「残るもの」の欄に無いものが、あなたが今日から自分で補うべき記録です。
補い方は次の章でお伝えします。
私がいた会社は①でした。
出勤した日にハンコを押した出勤表を、毎月の締め日に総務へ提出するだけ。
残業は事前に申請して承認を受ける決まりでしたが、社長が残業を承認しないことが暗黙の了解になっていて、申請は上司のところで止まっていました。
記録の上ではほぼ残業なし。
実態は、サービス残業が月100時間を超えていました。
この差を後から証明する材料が、会社の側には何ひとつなかったのです。
今の職場には、タイムカードがあります。
残業は事前に申請して上長の承認を受け、退勤後にもう一度、結果を申請する流れです。
申請せずに残業すると、打刻との差がシステムで自動的に検出され、本人にメールが届きます。
「記録が残るのが当たり前」の職場に来て、前の会社の「記録がない」が異常だったのだと、ようやく分かりました。
タイムカードがなくても残業代は請求できる|記録を残していないことは会社の側にも不利に働く
「記録がないなら、会社の言い分が通ってしまうのでは」という不安があると思います。
なぜ記録がなくても請求できるのか、何が証拠になるのかを、順に見ていきます。
「記録がないから残業はなかった」という言い分は通りにくい
賃金の未払いは、珍しい話ではありません。
厚生労働省の集計では、令和6年に全国の労働基準監督署が取り扱った賃金不払の事案は22,354件、金額は172億円を超えています。
残業をさせた会社には、割増賃金を支払う義務があります。
そして前の章でお伝えしたとおり、労働時間を記録する義務も会社の側にあります。
だから、労働者がPCのログやメールの送信時刻などから「この時間まで働いていた」と示せれば、「記録がないから残業はなかった」という会社の主張が、そのまま通るとは限りません。
記録を残していないこと自体が、会社にとって不利に働く場面もあると考えられています。
出典:労働基準法 第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)/厚生労働省「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和6年)」
証拠になるものと、強さの順番
証拠の強さを分けるのは、「自分で書き換えられるかどうか」です。
会社のシステムや第三者の手元に残る記録ほど強く、自分だけで作れる記録ほど弱くなります。
| 証拠になるもの | 強さの目安 |
|---|---|
| PCのログイン・ログオフの記録、業務システムの操作履歴 | 強い。自分では書き換えられない |
| メール・チャットの送信時刻 | 強い。相手側にも同じ記録が残る |
| 入退館の記録、警備の設定・解除の時刻 | 強い。ただし会社や警備会社の側にあり、自分では持ち出しにくい |
| 交通系ICカードの利用履歴 | 補助。通勤の時刻の目安になる |
| 自作の勤務記録・手帳・家族への帰宅連絡 | 補助。単独では弱く、上の記録と組み合わせて意味を持つ |
この中で、タイムカードがない会社の人でも自分の手で残せるのが、PCのログです。
Windowsの標準機能で電源のログを保存する手順は、「PCのログ確認方法|サービス残業の証拠を画像つきで保存する手順」に画像つきでまとめています。
会社のPCを使う仕事なら、今日からでも始められます。
自作のExcelは「単独では弱い」と弁護士に言われた
自分でつけた記録が証拠として弱い、というのは一般論としてよく言われます。
私はそれを、弁護士の前で実感しました。
在職中、私は自分でExcelの勤怠表をつけていました。
控えめに付けても、サービス残業は月100時間。
「これで証拠は万全だ」と思い込んでいたのです。
ところが退職後に弁護士へ見せたところ、返ってきたのは「後から編集できるので、単独では弱い」という評価でした。
補えるものとして挙げられたのは、PCのログ、メールやチャットなど仕事の連絡履歴、交通系ICカードの通勤・退勤の時刻、会社の警備の設定・解除の記録の4つ。
どれも「自分では書き換えられない記録」です。
自分の記録に意味がない、ということではありません。
自分の記録は「何時まで働いたか」を思い出すきっかけになり、客観的な記録と組み合わせて初めて力を持ちます。
Excelを一本だけ握りしめていた私の反省は、そこにありました。
📌 今日できる一歩
上の表を見て、今の職場で自分の手で残せる記録を1つだけ選んでください。
会社のPCを使うならログ、使わないならメールやチャットの送信時刻。
選んだものを、今日の退勤時に1回だけ確かめてみましょう。
辞めた後に請求する流れ|時効は「退職日から3年」ではなく「給料日ごとに1ヶ月ずつ」消えていく
「辞めてから請求しても遅いのでは」という心配は、半分は誤解で、半分は本当です。
辞めた後の流れと、時間が経つと何が起きるのかを、順に整理します。
退職後でも請求できる。ただし、古い月から毎月1ヶ月分ずつ消えていく
残業代を含む賃金の請求権には時効があります。
労働基準法では5年と定められ、経過措置により当分の間は3年です。
退職後に請求してはいけない、という決まりはありません。
気をつけたいのは、時効の数え方です。
「退職日から3年」ではなく、給料日を1回過ぎるごとに、古い月の分から順に消えていきます。
辞めて1年経てば、古いほうの1年分はもう請求できません。
請求できる分が一番多く残っているのは、辞めた直後です。
出典:労働基準法 第115条(時効)/同 第143条(経過措置)/厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されています(PDF)」
請求の流れは5段階。在職中と違うのは「証拠を新しく取れない」こと
退職後に請求する場合、流れはおおむね次の5段階です。
弁護士に頼む場合も、自分で進める場合も、順番は変わりません。
- 証拠を整理する:在職中に集めたPCのログ・メールの時刻・自分の記録を、月ごとに並べる。退職後は会社のPCに触れないため、手元にあるものがすべて。
弁護士に依頼すれば、会社に勤怠の資料の開示を求めてもらえる。応じない場合は、裁判所を通じて提出を命じてもらう手続きもある - 金額を計算する:時間外の1時間あたりの単価×残業時間。割増率は原則25%以上、月60時間を超えた分は50%以上
- 内容証明郵便で請求する:金額と支払期限を書いて送る。これは法律上の「催告」にあたり、送ってから6ヶ月は時効の完成が猶予される
- 会社と交渉する:個人の請求には応じない会社でも、弁護士が出てくると態度が変わることは少なくない
- 労働審判・訴訟へ進む:労働審判は裁判官1名と専門家2名が、原則3回以内の期日で解決にあたる非公開の手続き。まとまらなければ訴訟に移る
出典:民法 第150条(催告による時効の完成猶予)/裁判所「労働審判手続」
訴訟まで進んだ場合、未払い分と同じ額までの付加金の支払いを裁判所が命じることがあります。
また、退職後の未払い賃金には、退職日の翌日から年14.6%を上限とする遅延利息が原則として付きます。
会社にとっても、放置するほど重くなる仕組みです。
出典:労働基準法 第114条(付加金)/賃金の支払の確保等に関する法律 第6条(退職労働者の賃金に係る遅延利息)
退職後に探しても、使える証拠は残っていなかった
証拠は在職中にしか集められない、と言葉では分かっていても、実感は湧きにくいものです。
私が退職後に探した結果を、そのまま書きます。
PCのログが証拠になると知ったのは、退職した後でした。
会社のPCには、もう触れません。
交通系ICカードの履歴は、自転車通勤だったので最初からありませんでした。
会社の施錠は総務が管理する鍵で、自分の記録にはなりません。
会社のメールも、退職した時点で見られなくなっていました。
残っていたのは、数えるほどしかないチャットの履歴と、家族への「今から帰る」という連絡だけ。
どちらも、それだけで月100時間の残業を示すには弱すぎました。
結論として、使えそうな証拠は何もなかったのです。
辞めてから請求する道は、法律の上では開いています。
ただ、その道を歩くための材料は、辞める前にしか拾えません。
これが、「辞めてからでも遅くない」の本当の意味だと思っています。
自分で請求する/労基署/弁護士/退職と同時に弁護士型の退職代行|4つの道の比較
どの道を選ぶかで、費用も、かかる時間も、自分の負担も変わります。
まず4つを並べて、違いをつかんでください。
| 道 | できること | 費用と時間の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ①自分で請求する | 内容証明を自分で送り、交渉も自分で行う | 郵送代程度。 会社が応じなければそこで止まる | 証拠がそろっていて、会社と直接やり取りできる人 |
| ②労働基準監督署に申告する | 法違反を調査し、会社に是正勧告を出す。 残業代を代わりに請求はしない | 無料。 調査の時期や進み方は選べない | 会社に是正させたい人。 回収まで狙うなら他の道と組み合わせる |
| ③弁護士に依頼する | 計算・内容証明・交渉・労働審判・訴訟まで代理。 会社への資料の開示請求も | 相談無料や、着手金なしで成功報酬のみの事務所もある(事務所ごとに異なる)。 解決まで数ヶ月以上 | 未払い額が大きい人。 個人の請求に会社が応じない人 |
| ④弁護士型の退職代行に、退職と同時に頼む | 退職の意思の伝達に加えて、有給と未払い残業代の交渉をまとめて任せられる | 数万円から。 金銭を回収する場合は成功報酬あり。 在職中に依頼する | これから辞める人。 退職交渉と請求を一度に済ませたい人 |
労働基準監督署は「代わりに請求」はしてくれない
労働基準監督署は法違反を取り締まる機関で、あなたの代理人ではありません。
調査の結果として会社が支払うことはありますが、未払い残業代を確実に取り返すところまで狙うなら、③か④の民事の手段が必要になります。
もう1つ、在職中に申告するかどうかも悩みどころです。
訴えたことを理由に不利に扱うことは法律で禁じられていますが(労働基準法 第104条)、職場の空気までは守ってくれません。
在職中に訴えるリスクと、辞めるときに申告する順序は、「労働基準監督署とは?ブラック企業を労基に訴えるなら辞める時一択」で、訴えられなかった当事者の視点から整理しています。
これから辞める人は、「退職」と「請求」を同時に進めるのが現実的
辞めた後に動く道は、証拠を新しく取れないという弱点を抱えています。
だからこそ、これから辞める人には④を先に知っておいてほしいのです。
在職中に証拠を集め、退職を伝えるときに弁護士型の退職代行へ依頼すれば、会社のPCに触れるうちに証拠を確保したまま、退職交渉と請求を一度に済ませられます。
私が本来やりたかったのは、これでした。
ただ、当時は同じ会社に身内が残る事情があり、第三者を挟むことができませんでした。
退職の意思を伝えてもらうためというより、未払い残業代と有給の請求を任せるために頼みたかったのです。
退職の意思は、その結果として伝わればよかったのです。
そのくらい、理不尽な労働環境でサービス残業を続けていました。
ただし、退職代行を利用すれば、自動的に未払い賃金や有給休暇の交渉をしてもらえるわけではありません。
交渉まで任せられるのは弁護士か労働組合が運営する退職代行だけで、「弁護士監修」と書かれた民間業者は交渉ができません。
運営元の見分け方と失敗しやすいパターンは、「退職代行で失敗しない選び方|使うべき人と弁護士型・労組型の違い」で整理しているので、選ぶ前に参考にしてみてください。
私が考える退職代行の使い方は、会社に苦しめられた分の清算まで含めて、自分を守ることです。
📌 今日できる一歩
上の表から、今の自分に近い道を1つ選んでください。
選んだら、その道に進むと決めたときに最初に連絡する先(法律事務所の無料相談、労働基準監督署の窓口、退職代行の相談窓口のどれか)を1つだけ調べておきましょう。
連絡先が分かっているだけで、決めるときの重さが変わります。
試算までした私が、動かなかった理由|請求は「お金」だけの話ではない
ここまで読んで、請求するかどうかを考え始めた人もいるでしょう。
最後に、試算をして弁護士にも相談したのに動かなかった私の話と、動く前に決めておくことをお伝えします。
単純計算で約700万円。でも、動いたのは退職から1年後
退職前3年分の未払い残業代を、割増を含めた時間外の単価を仮に2,000円として単純計算すると、約700万円になりました。
月100時間のサービス残業が3年間続くと、これだけの額になります。
ただ、私が弁護士に相談したのは、退職から1年ほど後のことでした。
時効は給料日ごとに進みますから、その時点で請求できるのは残り2年分。
動かずにいた1年のあいだに、1年分が消えていたのです。
辞めた直後に動いていれば、と思わなかったと言えば嘘になります。
身内の事情で、私は動くのをやめた
弁護士に相談して、自分が持っている証拠だけでは弱いことが分かりました。
それでも、集めていた記録をもとに会社と争いたい、並行して労働基準監督署にも申告したい、という気持ちはありました。
しかし、最終的に動くのは諦めました。
身内が会社に残る決断をしたためです。
請求は、自分ひとりの話では終わりません。
会社に残る身内がいれば、その人の立場にも影響が及びます。
お金の計算だけでは決められない現実が、請求の手前には確かにありました。
動く前に決めておきたい順番
請求まで進む場合の、一般的な流れは次のとおりです。
- 在職中に証拠を集める(PCのログ・メールの送信時刻など)
- 弁護士に相談する(無料相談を受け付けている法律事務所や、弁護士が運営する退職代行がある。請求できる見込み・金額・費用をここで確かめる)
- 家族に話す(請求するつもりであること、サービス残業が月に何時間あるか)
- 退職日を決める(転職先が決まっているなら、入社日から逆算する)
- 弁護士型の退職代行に依頼する(辞めた後なら、弁護士に依頼する)
3番目の「家族に話す」が、退職代行に依頼するより前にあります。
これが、この順番で外せないところです。
請求は家族の生活にも関わることなので、依頼してから伝えるのではなく、決める前に話しておくことです。
私に足りなかったのは、証拠よりもこの順番でした。
📌 今日できる一歩
請求するかどうかを決める前に、「いくらなら動くか」「誰に先に話すか」「いつまでに決めるか」の3つを紙に書いてみてください。
答えが埋まらない項目が、あなたが先に片づけるべきことです。
タイムカードがない会社の残業代についてよくある質問
Q1. タイムカードがない会社は違法ですか?
タイムカードがないこと自体が、すぐに違法になるわけではありません。
会社が始業・終業の時刻を、出勤簿やPCの記録などの客観的な方法で把握・記録していれば、方法がタイムカードでなくても問題ないと考えられます。
問題になるのは、会社が始業・終業の時刻をどこにも記録しておらず、労働時間が管理されていない状態です。
Q2. 手書きの出勤簿しかない会社はやばいのでしょうか?
手書きであること自体は、法律上の問題ではありません。
始業・終業の時刻まで書かれていれば、記録として成り立ちます。
やばいかどうかの分かれ目は、時刻が残っているかどうかです。
ハンコだけ・日付だけの運用なら、労働時間を管理していない状態に近いので注意が必要です。
もし未払い残業代を請求するなら、その出勤簿だけでは根拠として弱いため、PCのログなど別の記録を残しておきましょう。
Q3. 証拠が何もなくても、残業代は請求できますか?
請求そのものはできますが、労働時間を示す材料が何もないと、認めてもらうのは難しくなります。
タイムカードがなくても、PCのログ、メールやチャットの送信時刻、入退館の記録などが証拠になり得ます。
弁護士に依頼すれば、会社に対して勤怠の資料の開示を求める道もあるので、「何もない」と決めつける前に相談してみてください。
Q4. 辞めてから何年まで、残業代を請求できますか?
賃金の請求権の時効は、当分の間3年です。
ただし「退職日から3年」ではなく、給料日ごとに古い月の分から順に消えていきます。
辞めて1年経てば、請求できるのは残り2年分です。
Q5. 労働基準監督署に言えば、残業代は戻ってきますか?
労働基準監督署は会社を調査し、法違反があれば是正を指導しますが、あなたの代わりに残業代を請求する機関ではありません。
指導の結果として会社が支払うことはありますが、残業代が戻ってくる保証はありません。
確実に回収まで狙うなら、弁護士や、弁護士が運営する退職代行に交渉を任せる道を組み合わせてください。
Q6. 残業代を請求したことは、転職先に伝わりますか?
前の会社に残業代を請求したことが、転職先に自動で伝わる仕組みはありません。
面接等で自分から話さない限り、知られる可能性は低いでしょう。
まとめ:タイムカードがなくても残業代は請求できる。ただ、辞めてから動くほど残る分は減っていく
最後に、この記事の要点をまとめます。
- タイムカードがないこと自体は違法ではないが、始業・終業の時刻を記録する義務は会社にある
- 記録を残していないことは会社の側にも不利に働く。PCのログやメールの時刻など「自分で書き換えられない記録」が証拠になる
- 退職後でも請求できるが、時効は給料日ごとに進み、古い月から1ヶ月分ずつ消えていく
- 道は4つ。労基署は代わりに請求してくれないので、回収まで狙うなら弁護士か弁護士型の退職代行
- 請求はお金だけの話ではない。家族に話す順番を、退職代行に相談するより前に置く
私は試算までして、動きませんでした。
それでも、証拠を集めておけば選択肢が残る、ということだけは身をもって知っています。
タイムカードがない会社にいる今のあなたには、私が退職後に探しても見つからなかった材料が、まだ手の届くところにあります。
今日の退勤前に、会社のPCの電源ログを1回だけ保存してみてください。
PCのログの取り方は、画像の手順つきでまとめています。
すぐ下の「次に読むなら」のリンクから確認できるので、参考にしてみてください。
請求するかどうかは、辞めるときに決めればいいのです。
その日に選べる側でいるための材料を、今日から残していきましょう。
次に読むなら
ここまで読んで思い当たることがあった方へ。
今のあなたに近いところから、気になる記事を読んでみてください。
▼ 証拠を残したい方へ
▼ 請求の流れを知りたい方へ
▼ 辞め方で悩んでいる方へ

