退職代行を使う人は甘え?頭おかしい?|逃げにならない使い方を解説

白い封筒を第三者の手に託す製造業の若手社員。退職代行を使う人は甘えか頭おかしいかと悩む場面のイラスト

退職代行を使いたい。
でも上司たちが、退職代行を使う人は「甘え」「頭おかしい」と言っているのを聞いて、思い留まった。
退職を自分の口で言えないのは、逃げなのではないか。
家族にもまだ話せていない。
――そんな気持ちを抱えている人も多いのではないでしょうか?

先にお伝えすると、甘えかどうかは、退職代行というサービスを使うかどうかで決まるものではありません。
あなたが、どんな理由で退職代行を使うのかで決まります。

  • 長時間労働やサービス残業が当たり前になっている
  • 有給休暇を使わせてもらえない
  • ハラスメントを受けている
  • 何度伝えても辞めさせてもらえない
  • 会社から脅される

このような会社から「自分を守る」ために退職代行を使うなら、それは逃げではありません。

一方で、上司と話は通じるけれど、伝えるのが気まずい。
そういう場合は、自分で伝えたほうが得です。
話が通じる上司なら、費用をかけなくても退職できるからです。

私はブラック企業に約10年勤めた経験者で、現在は東証プライム上場企業の品質管理部門で働く現役会社員です。
前の会社を退職するとき、本心では退職代行を使いたいと思っていました。
でも、私には使えない事情があり、結果として、不利な条件を受け入れて退職することになってしまいました。

退職代行について調べている人の不安は、2つあると思います。
1つは、「退職代行を使う自分は、無責任な人間なのか」という不安。
もう1つは、「使ったら、転職で不利になったり、会社の人に恨まれたりしないか」という不安です。
この記事では、2つの不安を分けてお答えします。

次の4つを、順番にお伝えします。

  1. 退職代行を使う人は本当に「頭おかしい」のか。数字で見る実像
  2. 逃げにならない使い方。迷わず使っていい場合と、自分で伝えたほうが得な場合
  3. 使ったら実際どうなるのか。転職・職場の人間関係・家族
  4. 退職代行を使いたかったのに使えなかった私が、当時の自分に言うこと

それでは、退職代行を使う人は本当に「頭おかしい」のか、から確かめていきましょう。

目次

退職代行を使う人は本当に「頭おかしい」のか|数字で見る実像

退職代行を使うのは、どんな人なのでしょうか?
世間では「頭おかしい」「クズ」「非常識」といった強い言葉で語られることもあります。
まずこの章では、実際に退職代行を使っているのはどんな人なのかを、調査の数字で確かめていきましょう。

使う人は、辞めた人の約20人に1人

人材サービス会社の調査研究機関であるパーソル総合研究所が、2025年に「離職の変化と退職代行に関する定量調査」を行っています。
対象は、全国の20〜50代の男女1,829名です。
このうち、前の会社を正社員として辞めた人を見ると、退職代行を使った人は5.1%、約20人に1人でした。
この調査に答えた退職代行の利用者は、52名です。

退職代行を使った人には、次のような傾向が出ています。

  • 20〜30代が約5割
  • 前の会社で「直属の上司との関係」に不満があった人が約7割
  • 直属の上司からハラスメントを受けたと答えた人が約4割

私が目を留めたのは、気持ちについての結果です。
退職代行を使った人は、「周りの人と力を合わせて働きたい」と答える割合が高い傾向でした。
退職代行を使わずに辞めた人よりも、高かったのです。
辞めた会社の人たちに「申し訳なさ」を感じ、自分を「裏切りもの」だと感じている人も多い、と報告されています。

もう1つ、相談相手についての結果もあります。
退職代行を使った人は、職場の同僚にも、家族や友人にも相談していない人が多い傾向でした。
誰にも話さないまま、一人で決めている人が多いのです。

気持ちと相談相手。
この2つの結果から、調査をした研究所は、「身勝手」「無責任」というイメージは退職代行を使った人には当てはまらない、とまとめています。
出典は、パーソル総合研究所の「離職の変化と退職代行に関する定量調査」です。

数字から見えるのは、嫌なことから逃げる人の姿ではありません。
上司との関係に追い詰められ、それでも職場の人に申し訳ないと感じながら、退職代行を使った人の姿です。
「申し訳ない」と感じながら退職代行を調べているあなたは、この調査に出てきた人たちと同じ気持ちを抱えているのではないか、と私は思います。

実は私も、退職代行というサービスが世の中に出てきた頃は、正直に言うと「逃げ」だと感じていました。
考えが変わったのは、自分が退職する立場になってからです。
会社や職場の環境によっては、使っていいサービスだと思うようになりました。
そう思うようになった経緯は、この記事の後半でお伝えします。

「頭おかしい」という批判は当たっているか

では、なぜ退職代行を使う人は「頭おかしい」とまで言われるのでしょうか?
よく言われる批判と、実際はどうなのかを、表にまとめます。

よく言われる批判実際はどうか
「大事な話を自分で言えないのは非常識」退職の意思を本人が直接伝えなければならない、という法律の決まりはない
「退職代行は違法ではないのか、怪しい」退職代行というサービスそのものは違法ではない
「引き継ぎをしないで辞めるのは迷惑」退職代行を使っても、引き継ぎの資料は自分で残せる
「嫌なことから逃げる癖がつく」どんな理由で使うのかによる
「そんな人は、どこに行っても通用しない」典型的な退職の引き止め文句、辞め方と次の職場で通用するかは別の話

1つ目の「自分で言えないのは非常識」は、あくまでもそれを言っている人の価値観でしかありません。
法律では、正社員のように期間の定めのない雇用なら、退職を申し入れてから2週間が経てば雇用は終わる、と定められています(民法 第627条)。
退職の意思を誰が伝えるのかまでは、決められていません。

2つ目の「違法ではないのか」は、退職代行の大手だった会社「モームリ」が事件として報じられたニュースの印象が大きいと思います。
退職代行には、民間の会社が運営するもののほかに、労働組合や弁護士が運営するものがあります。
法律で問題になるのは、弁護士でも労働組合でもない業者が、退職を伝えるだけでなく、有給や未払いの残業代について会社と交渉をした場合などです。

根拠は弁護士法 第72条です。
弁護士でない人が報酬をもらって法律の交渉をすることは、「非弁行為」として禁じられています。
退職代行というサービスそのものが、禁じられているわけではありません。
事件の中身が気になる方は、モームリはなぜ違法で何があった?を読んでみてください。

3つ目の「引き継ぎをしないで辞めるのは迷惑」は、あなた自身も気になっているところだと思います。
退職代行を使う場合でも、引き継ぎのメモや資料は、自分で作って残せます。
そして、あなたの仕事を誰に引き継ぐのかを決めるのは、会社の仕事です。

4つ目の「逃げる癖がつく」には、私もうなずく部分があります。
会社で嫌なことがあるたびに、退職代行で辞める。
そういう癖がついてしまう恐れは、あると思うからです。

ただ、これは退職代行というサービスの問題ではありません。
どんな理由で使うのか、の問題です。
次の章では、迷わず使っていい場合と、自分で伝えたほうが得な場合を、分けてお伝えします。

甘えかどうかは「使う理由」で決まる

「使っていい理由」と「自分で言ったほうがいい理由」の線は、どこにあるのでしょうか?
この章では、私の考えをはっきりお伝えします。
先に言うと、分かれ目は2つです。
退職を伝える相手(上司や社長)がどんな人か。
そして、会社があなたに何をしているかです。

自分で伝えたほうが得な場合

たとえば、こんな場合です。
上司は普通に話せる人で、退職を伝えても理不尽なことは起きそうにない。
ただ、言い出すのが気まずい。
この場合、私は退職代行をおすすめしません。
理由は2つあります。

1つ目は、費用です。
退職代行は有料で、話が通じる上司なら、お金を払わなくても退職できます。

2つ目は、経験です。
言いにくいことを自分の口で伝える経験は、次の職場でも必要になると私は考えています。

私自身、新卒で入った会社を辞めるときは、上司に自分の口で伝えました。
言えたのは、その上司が人の話を聞くタイプだったからだと思っています。
相手が話の通じる人なら、自分で伝える道は十分にあります。

ただし、「気まずい」と「怖い」は別です。
怖い相手でも、話が通じる人なら、自分で伝える道はあります。
ただしその場合は、何を言われても記録が残るように、面談はこっそり録音しておいてください。

退職を口にした途端に怒鳴る、認めない、脅す。
残念ながら、そういう人も少なからず存在します。
そういう相手なら、気まずさの話ではなく、相手の問題です。
自分で言うか、退職代行(あなたの代わりに会社へ伝える第三者)に任せるかを決める前に、退職を伝える相手がどんなタイプなのかを確かめてみてください。

確かめると言っても、試しに言ってみる必要はありません。
先輩や同僚が退職を伝えたとき、その相手がどう反応したかを思い出してみてください。
怒鳴る、脅すのを見ているなら、あなたにも同じことをする可能性が高いと考えて差し支えありません。

迷わず使っていい場合=自分を守るとき

会社があなたに次のようなことをしている。
または、退職を口にした途端にしてくる。
この場合は、迷わず退職代行を使っていいと私は考えています。

  • 何度伝えても辞めさせてもらえない、脅される:期間の定めのない雇用なら、申し入れから2週間で退職できます(民法 第627条)。脅して働かせ続けることは、法律が禁じています(労働基準法 第5条)
  • 有給休暇を使わせてもらえない:有給休暇は、法律で定められた労働者の権利です(労働基準法 第39条)
  • 残業代が払われていない:残業には残業代(割増賃金)を払う義務が、会社にあります(労働基準法 第37条)
  • ハラスメントを受けている:パワハラを防ぐための対策は、会社の義務です(労働施策総合推進法 第30条の2)。会社がその義務を果たしていないなら、あなたが我慢し続ける必要はありません
  • 長時間労働で、心や体が限界に近い:会社に行けない状態なら、あなたの体を優先してください

最後の1つを除いて、どれも、法律で決まっていることを会社が守っていない状態です。
法律を守らない相手と、あなたが一人で向き合う義務はありません。
心や体が限界なら、法律の話より先に、あなたの体を守ってください。
自分を守るために退職代行を使うなら、それは逃げではありません。

あなたの状況は、どちらに近いか

自分で伝えるのか、退職代行に託すのか。
あなたの状況がどちらに近いかを、表で確かめてみてください。

スクロールできます
あなたの状況伝えるのは先にやること
上司は普通に話せる人で、気まずいだけ自分―
上司は怖いけれど、話は通じる自分面談をこっそり録音
何度言っても認めてくれない、引き止めがしつこい退職代行法律上の退職日を知る
「辞めるなら損害賠償」「訴える」と言われた退職代行払う前に請求の根拠を確かめる
有給を使わせてくれない、退職日を勝手に決められた退職代行交渉できる労働組合か弁護士を選ぶ
サービス残業代を清算して辞めたい退職代行交渉できる労働組合か弁護士を選ぶ
心身が限界で、もう会社に行けない退職代行体を優先する
はっきりした被害はないが、出勤がつらい、引き止めが怖い決める前に「何がつらいか」を1行で書く

「何度言っても認めてくれない」の行に当たる方は、法律上いつ辞められるのかを、会社が辞めさせてくれないの記事で先に押さえておいてください。

表の「有給を使わせてくれない」と「サービス残業代を清算して辞めたい」の2行は、当時の私の状況そのものでした。
約10年勤めて、有給休暇を使えたのは数えるほど。
サービス残業は、月100時間を超えていました。

退職を伝えたあとの社長との面談では、退職の理由を否定され、「一日でも早く逃げ出したいだけだろ」という趣旨のことを言われました。
そして月末の予定だった退職日は、一方的に半月も早められました。
有給は、1日も使えないままの退職です。
面談の詳しい話は、この記事の後半に書いています。

📌 今日できる一歩
退職代行を使いたい理由を、紙に1行で書いてみてください。
「守るため」の言葉が入るなら、表であなたの行を探してください。
その右の列が答えです。
「気まずいから」しか書けないなら、上司がどんな人かをもう一度考えてみてください。

使ったら実際どうなるのか|転職・人間関係・家族

守るために使うと決めても、「使ったことが転職先に知られたら」「職場の人に恨まれたら」と考えると、手が止まる人もいるのではないでしょうか?
転職や人間関係で困るのではないか、という不安は少なからずあると思います。
そして、その不安を100%取り除くことは、残念ながらできません。

しかし、何で決まるのかを知れば、不安を減らすことはできます。
それでは、順番に紹介していきます。

転職先に伝わることは、通常ない

退職代行を使ったことが、転職先に伝わることは通常ありません。
前の会社が、本人の同意なしに、あなたの情報を他の会社へ渡すことは、法律で原則として禁じられています(個人情報の保護に関する法律 第27条)。
履歴書や職務経歴書に、退職の伝え方を書く欄もありません。

ただし、可能性はゼロではありません。
同じ業界で横のつながりが強い地域では、人づてに伝わることはあり得ます。

面接で退職の話が出るとすれば、多くは「なぜ辞めたのか」です。
私の場合も、今の会社の面接で聞かれたのは、前の会社を辞めた理由でした。
答えたのは、サービス残業のことです。

もし退職代行のことを聞かれたとしても、「自分を守るために第三者を挟んだ」と説明できる理由があれば、答えに困りません。
その理由は、先ほどの表で確かめた「使う理由」そのものです。

職場の人との関係は、何で決まるか

「退職代行を使ったら、上司や同僚に恨まれるのではないか」。
実際に使われた側の体験談を見ると、反応は立場によって割れています。
上司や管理職は怒り、同僚は同情し、手続きをする総務は淡々と進める。
そういう声が、Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトに書かれていました。

「なぜ直接言ってくれなかったのか」と感じる人がいるのも、事実だと思います。

そのうえで、私の場合をお伝えします。
私は退職代行を使わず、自分の口で退職を伝えました。
それでも、社長との関係は最悪の形で終わりました。
一方で、社長以外の職場の人とは、退職した今でも交流が続いています。

続いているのは、退職の伝え方のおかげではなく、それまでに築いた関係のおかげだと思っています。
これは私の想像ですが、もし当時、退職代行を使っていたとしても、その人たちとの関係は変わらなかったと思います。
それまでの関係があれば、相手も事情を理解してくれるはずだからです。

恨まれるかどうかを決めるのは、退職代行を使ったかどうかではありません。
それまでの関係と、辞め方です。
引き継ぎの資料を残す、借りていたものを返す。
退職代行を使っても、ここは自分でできます。

家族に話すなら、何を伝えるか

家族や友人に「退職代行なんて甘えじゃない?」と言われるのが怖い。
そう感じて、話せずにいる人もいると思います。
私も、退職代行を使いたいという気持ちは、誰にも話しませんでした。

家族に話すなら、「何から自分を守るのか」を一言で伝えてみてください。
「何度言っても辞めさせてもらえない」「有給を使わせてもらえない」のように、先ほどの表の行を1つ指せば足ります。

相手は、あなたの上司の顔も、有給が取れない日々も見ていません。
見ていないから、「甘え」に見えてしまうのです。
一言伝えただけで納得してもらえるとは限りません。
でも、「甘え」ではなく「状況」として聞いてもらえる入口にはなります。

家族には話さずに退職代行を使う、という選択もあります。
どちらが正しいのかは正直わかりません。
場合によっては、会社があなたと連絡が取れないという理由で、家族に電話をかけてくることを心配する人もいます。
会社が必ず守るとは言い切れませんが、退職代行に依頼するときに、「本人や家族に直接連絡しないでほしい」と会社へ伝えてもらえるかを確かめてください。

私は本心から退職代行を使いたかった

退職代行の担当者が自分の代わりに社長と話す場面を思い浮かべながら、スマホを伏せたまま使えずにいる製造業の若手社員のイラスト

ここからは、当時の私に起きたことをお伝えします。
退職代行を使わなかった私が、なぜ「使いたかった」と言うのか。
その理由は、この記事で線を引いた「守るために使う」そのものでした。

使いたかった理由は、残業代と有給の清算

退職代行というサービスが出てきた頃、私は正直に言って「逃げ」だと感じていました。
考えが変わったのは、転職活動で内定をもらい、入社日を決めるときです。
当時の会社の社長が相手では、退職の話し合いで揉めることが目に見えていました。
退職代行を使わなければ、辞められないかもしれない。
そう感じたのが、きっかけでした。

使いたかった理由は、3つあります。
いちばん大きかったのは、サービス残業代の清算です。
私が約10年勤めた会社では、サービス残業が月100時間を超えていました。
働いた分の残業代は、清算してから辞めたいと思っていました。

2つ目は、有給休暇の消化です。
約10年勤めて、有給休暇を使えたのは数えるほどでした。
3つ目は、社長と直接話したくなかったことです。
これまでの退職者は社長と揉めることも多く、まともな話し合いにならないことが目に見えていたからです。

残業代と有給の交渉が必要になることは分かっていました。
だから、頼むなら弁護士が運営しているところだ、と当時から考えていました。
弁護士でも労働組合でもない業者は、会社と交渉できないからです。

私の会社にはタイムカードがなく、残業の記録は自分で残すしかありませんでした。
辞めたあとに未払いの残業代を請求する流れは、タイムカードがない会社でも残業代は取り返せる?にまとめています。

使えなかった理由は、会社に残る身内

それでも、私は退職代行を使えませんでした。
同じ会社に、私の身内が働いていたからです。
その身内は、会社に残る側でした。
私が第三者を立てれば、矛先が身内に向くかもしれない。
そう考えると、退職代行は選べませんでした。

私の場合、退職を伝える相手は、直属の上司だけではありませんでした。
お世話になった直属の上司には、自分の口で退職を伝えました。
ところが、話が社長に届くまでに1ヶ月以上かかりました。

次の会社の入社日は決まっているのに、退職日が決まらない。
転職エージェントからは、退職日を確認する電話が定期的にかかってきます。
転職先に迷惑をかけることだけは、避けたいと思っていました。

社長との面談で起きたことは、先ほどお伝えしたとおりです。
退職理由を否定され、退職日を一方的に半月早められ、有給は1日も使えませんでした。
社長は、会社に残る私の身内を引き合いに出してきました。
それは私には、半ば脅しのように聞こえました。
だから、反発できなかったのです。

悔しいけれど、仕方ない。
当時の私は、そう自分に言い聞かせました。
会社に残る身内の職場環境が悪くならないことを、最優先にしたからです。

もしも誰かから「退職代行を使わずに、自分で言えて偉い」と言われたとしても、私は「それは違う」と答えます。
自分で退職交渉をした結果、不利な条件を受け入れて辞めることになりました。
会社に、「従業員に対して、こうすれば不利な条件で辞めさせられる」という前例を残してしまった、とも思っています。

いま振り返れば、当時の自分にこう言う

いま振り返れば、当時の自分にはこう言います。
「この会社の社長は、まともに交渉するような相手ではない。退職代行を使うことで、精神的な疲弊から解放されるだけじゃない。自分が働いた分の未払い残業代も、従業員の権利である有給休暇も、取り返せる可能性がある。自分が頑張ってきたことを無駄にしないためにも、弁護士が運営する退職代行に依頼するんだ」と。

退職代行を使えなかったことを、今でも納得はできていません。
でも、その悔しさがあるから、同じ状況の人には、はっきり言えます。

退職を口にした途端に、引き止めや脅し、有給の拒否で苦しめられている。
そういう人が、自分を守るために退職代行を使うなら、それは逃げではありません。
上司と話が通じるなら、お金を払わなくても自分で伝えて辞められます。
どちらに当たるかを決めるのは、退職を伝える相手と会社であって、あなたの性格ではありません。

世間は、ホワイト企業ばかりではありません。
まともに退職させてくれない会社も、多くあります。
職業を選ぶことは、労働者に与えられた権利です(日本国憲法 第22条)。
会社が辞めさせてくれないのは、会社の勝手な都合です。

退職について頭を悩ませる時間は、次の会社で働くための準備に使うほうが合理的です。
ややこしい相手に退職を伝えてもらうことは、決して甘えではありません。

守るために使うと決めた方は、次にどこへ頼むかを決める番です。
弁護士型と労働組合型の違い、失敗しないための確かめ方は、退職代行で失敗しない選び方に詳しくまとめました。
退職代行を選ぶ際に失敗しないためにも、ぜひ確認してみて下さい。

退職代行を使う人について、よくある質問

Q1. 退職代行を使う人には、どんな特徴や心理がありますか?どれくらいいますか?

パーソル総合研究所の調査では、正社員を辞めた人のうち退職代行を使ったのは約20人に1人でした。
使った人の約7割が直属の上司との関係に不満を持ち、辞めた会社に申し訳なさを感じている人が多い、という結果です。
逃げる人ではなく、上司との関係で追い詰められた人、というのが数字から見える姿です。
くわしい数字は、この記事の最初の章にまとめています。

業者のサイトに並ぶ「真面目で責任感が強い」は、その業者を使った人の話なので、全体の傾向とは限りません。

Q2. 退職代行を使ったあと、上司から直接連絡が来たらどうすればいいですか?

出なくてかまいませんし、自分で言い返す必要もありません。
連絡が来たことを依頼先に伝え、会社とのやり取りは依頼先を通してください。

ただし、会社と交渉できるのは、労働組合か弁護士が運営している退職代行だけです(弁護士法 第72条で、法律の交渉ができる人が限られているためです)。
上司からの連絡や引き止めが予想される相手なら、最初からそちらを選んでください。
選び方は、この記事の最後の「次に読むなら」にまとめています。

Q3. 退職代行を使うのは、甘え・逃げ・恥ずかしいことですか?

甘えかどうかは、退職代行というサービスで決まるのではなく、使う理由で決まります。
引き止め、脅し、有給の拒否、未払いの残業代、ハラスメントから自分を守るために使うなら、逃げではありません。
上司と話が通じて、気まずいだけなら、費用をかけずに自分で伝えて辞められます。
「何から自分を守るのか」が自分で分かっていれば、恥ずかしがる必要はありません。

Q4. 退職代行を使ったら、会社から訴えられたり損害賠償を請求されたりしますか?

退職代行を使ったこと自体を理由に、損害賠償が認められることは通常ありません。
退職の意思を第三者から伝えても、申し入れから2週間で退職できることは変わりません(民法 第627条)。
「使ったら訴える」は、先ほどの表でいう「『辞めるなら損害賠償』『訴える』と言われた」の行で、守るために使っていい状況です。
すでに損害賠償の話が出ている方は、退職で損害賠償を請求すると脅されたらで、払う前にやることを読んでみてください。

Q5. 退職代行はやめたほうがいい、と言われるのはなぜですか?

「やめたほうがいい」の中身は、2種類あります。
1つは、気まずいだけで、自分で言える相手にも使う場合です。
これは私もおすすめしません。

もう1つは、業者選びの失敗です。
弁護士でも労働組合でもない業者は、会社と交渉できません。
有給や未払いの交渉が必要な人がそこを選ぶと、望んだ結果になりません。
この2つを混ぜて「退職代行はやめとけ」と言う記事が多いので、自分はどちらの話をされているのかを分けて読んでみてください。

まとめ:守るために使うなら、それは逃げではない

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • 退職代行を使うのは、離職者の約20人に1人。上司との関係に追い詰められ、申し訳なさを感じながら使っている人が多い
  • 甘えかどうかは、退職代行というサービスではなく、使う理由で決まる
  • 引き止め、脅し、有給の拒否、未払いの残業代、ハラスメントから自分を守るために使うなら、逃げではない
  • 上司と話が通じて気まずいだけなら、費用をかけずに自分で伝えて辞められる
  • 転職先に伝わることは通常なく、職場の人との関係は、それまでの関係と辞め方で決まる

「頭おかしい」「クズ」は、あなたの職場を知らない人の言葉です。
あなたの理由が「守るため」なら、退職代行はあなたの味方の一つです。

退職について悩む時間は、次の会社で働くための準備に回してください。
使いたい理由を1行で書けたなら、次はその理由に合った選び方へ進んでください。
まだ書けないなら、上司がどんな人かを先に見きわめることから始めてみましょう。

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この記事を書いた人

ブラック企業に10年勤務後、転職。製造業の品質管理・調達、台湾駐在・中国出張の経験あり。仕事で消耗しているあなたへ、きれいごとなしの「考え方と行動の地図」を届けます。ブラック企業10年の裏側はnoteに、Xでも毎日情報を発信しています。今日動かなければ、明日は今日の続きです。でも今から動けば人生は変えられます。一緒に始めてみませんか?

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